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「とやま法人会」に弊社社長のコラムが掲載されました

公益社団法人富山法人会の会報誌「とやま法人会」2024年8月号 No.108に

弊社社長のコラムが掲載されました。

下記がコラム文です。ぜひお読みください。

 

「嗚呼、あぁ、、、夏休み」

令和5年度より富山法人会の副会長並びに広報委員長を拝命いたしました。何分にもこれまで法人会活動にほとんど貢献出来ていない身であります。今回お声掛けいただきました武内会長始め役員の皆様のご期待にお応え出来ますよう、そして貴重な学びの機会をいただいたと考え、諸先輩方の背中を追いかけながら精進して参る所存です。今後ともご指導、ご鞭撻を賜りますよう宜しくお願い申し上げます。

これまでコラムは読ませていただくばかりで、自分が寄稿するのは初めての経験です。机に向かい何を書いたら良いのか……思いを巡らせ、自分の原点である幼少の頃に立ち返ってみますと、その頃の経験が今の私を形作っていると改めて強く思わされます。

その中のひとつに書道との出会いがあります。もともと母が習っていた書道教室に2歳上の姉が通い始めたのに付き合わされ、ただただ時間を持て余していた妹の私も、見よう見まねで何となく始めた書道が、私の人生において大きな影響を与えることになるとは、当時幼稚園児の私は知る由もありませんでした。そしてそののち、ともに生徒として通っていた母が突如「自分で書道教室を開きたい!」と言い出したため、我が家は大騒ぎとなり、人生初の家族会議を経験しました。あれから40年。古希を過ぎた母は今も書を教え、書道家として生きていることが、私の人生の傍らに書道が常にある大きな由縁であると感じています。

習い始めの頃は、使い慣れない筆で〇と×を書くだけで褒められて得意になっていたのが、小学校3年生頃からは週一回のお稽古に加え、毎年の夏休みには少年自然の家での2泊3日の合宿が私の恒例行事となりました。クーラーのない大きな部屋にぎゅうぎゅう詰めになって、汗を垂らしながら膝をついて大作を仕上げるのがその合宿のミッションです。先生からOKが貰える良い作品を書けた人は、初日であろうとたったの数枚書いただけで書道から解放され、残りの合宿中は施設内で遊び惚けて、みんなでカレーライスを作ったり、キャンプファイヤーを楽しんだり、それはそれは楽しい夏休みの思い出を作り、最高の時間を過ごすことが出来るのです。が、私にとってこの夏の合宿は、毎年やって来る恐怖の鬼の合宿でした。というのも、私にはいつまで経ってもOKが出ない! 出してもらえない! もっと良い作品がかけるはずだ! まだまだだ!!そう言われ続けて3日間。膝が真っ赤になって立てなくなり気力だけで書き続け、楽しそうな友達の姿を横目で見るだけで少年自然の家の夏が終わる。高校3年生までの10年間、この恒例行事を続けました。当時は「なんで私だけ……」と悲観的に自虐的に受け止めていて、子供心には自分だけ友達と遊べない無念さと虚しさでしくしくと泣いたこともありましたが、大人になってみるとあの特別な夏休みへ感謝の念が沸き上がってきます。書道の腕前と一緒に心も鍛えてもらっていたと気付かされます。あの鬼の特訓を10年間乗り切れたこと、そして諦めずに粘り強く書道と向き合えた時間は、私の心を強く逞しく育ててくれたのは言うまでもありません。今は筆を持つ機会はめっきり減ってしまいましたが、これからも書道とは大切な趣味として、ずっと長いお付き合いをしていきたいと心に決めています。そしていつか平仮名を小さな子供たちに教えたいというささやかな夢も叶えたいと実は思っています。

ただ現代においてはこの指導なのか? 教育なのか? 私が経験したあの夏の合宿は許されるのか??社員を育成することが課題の今、ふと思うことです。

先日「95歳セツの新聞ちぎり絵原画展」を鑑賞してきました。趣味をお持ちでなかった当時90歳のセツさんが始めた創作活動が今となっては生きがいになっていて楽しくてしょうがないと95歳のセツさん。作品の素晴らしさはもちろんのこと、作品を通して垣間見えるセツさんのお人柄に魅了され、惹きつけられました。いくつになっても熱中できる趣味、生きがいを持って、楽しく生きる。私にとって書道がそんな存在になればいいなと改めて思わされた時間でした。

※写真は細密字写経の作品で、爪楊枝と比較しています。一文字2ミリ程度。
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